所感雑感

くだらないひと。

人間の抱える問題を解決するための反出生という矛盾の話

 世の中には反出生主義というスタンスがある。本能しか持ち得ない動物には到底浮かばない考えだろう。
 しかし、その反出生主義の根拠として時に語られる様々な社会問題や環境問題。これはどう考えても矛盾している。
 たとえば食糧問題。人がいなくなれば解決するという単純明快な解だろうがそうはいかない。解決していない。そもそも食糧問題は人間の存在が不可欠で、その解決にも人間の存在が不可欠だ。難民問題であっても難民がゼロになり、母国なりどこかしらの国で安寧な生活を送れるようになって解決する。
 環境問題もそうだ。人間がいなくなって東京に緑が戻って40度超えの夏がなくなったとしてもそれに何の意味があるのか。我々は基本的に人間原理に沿って物事を見ている。つまりこの世界は人間のような知的生命体が観測しているから成立しているということた。人間のいなくなった場所に平和が訪れても何の意味もない。これは人間のエゴではなく弱さだ。我々は見られないものは見られない。

 わたしは反出生主義というより優生思想よりの人間だ。セックスという自己肯定感を行為の形で表したものを否定する気はさらさらない。ただ「問題を全て解決できる反出生主義〜!」みたいな捉え方が気持ち悪くてしょうがない。まるで人口削減計画みたいじゃないか。人生は苦であり、それを克服するために生への意思を否定する。ショウペンハウエルの思想こそ高貴なる反出生主義だと考える。